「ねぇ、なぜ空は青いの?」
「ねぇ、なぜ夏は暑いの?」
「なぜ飛行機は空を飛ぶの?」
「ねぇねぇ、なんで?」
僕たちは、「なぜ?」という質問を小さいころ沢山しました。
でも、大人になってコミュニケーションを学んでいると、
そんな「なぜ?」という質問をしちゃいけないんだよ!
なんて教わることがあります。
それこそ「なぜ?」と思ってしまいます。
なぜと聞かれると責められてると感じる。
僕は以前、カウンセリングを学んでいた時、
「なぜとは聞かない方がいい。」と教わったこともありました。
それはこんな理由からでした。
「なぜ?」というと、言われた側が責められていると受け手側が感じるから。
だからなぜって聞かないようにしましょう!
ということを教えてもらいました。
つまりこういうことです。
「ねぇ、なぜそんなことをしたの?」
と相手から聞かれると、聞かれた側がこのような反応をしがちだということなのです。
例えば…、
「そんなこといったってしょうがないじゃん。」
「なぜ?って言われても、何も知らないくせに!」
といったような責められている、暗にあなたが悪いと言われていると捉えられる。
だから、なぜと聞くのは止めましょう!と教わりました。
でも、正直当日の僕にはピンときませんでした…。
言っていることはわかるのですが…。
その後、ある先生からその理由を教わったことで、
「なるほど!」と思ったのです。
それは…。
なぜと聞くと反応が予測できない。
なぜと聞くと相手からの反応(答え)が予測できないからです。
なぜには、先に説明したように責められている印象もある為、言い訳が出てきたりして、自分が聞きたいことが出てこないことがあるのです。
この自分が聞きたいことというのは、ある行動をした理由であることが多いのですが、「なぜ」という質問では、その理由が出てこず、予想もしなかった返答が返ってくることが多いのです。
では、どのような反応が返ってくるのでしょうか。
ここでは4つご紹介していきます。
①言い訳をする。
「いやいや、おれだってあんなミスしたくなかったよ。」
「でも、残業続きだったし、そんな細かいところまで気が回らなかったんだよ。」
というように、言い訳が返ってくることもあります。
これは、なぜという質問が責められているという印象を相手に与えてしまう為に出る防衛反応とも言えます。
②責められていると思って怒ってしまう。
「あんなミスってお前、何にも知らないからそんなこと言うんだよ!」
「なんだよあんなって!俺だって一生懸命やってんだよ!」
というように、”なぜ”という質問が、責められているように聞こえてしまい、上記のように言い訳や理由をいって自分を守るのではなく、怒りによって自らを守ろうという反応がでます。
この反応がでるということは、相手からすると「あなたは私のことを全く分かってない人。」となっており、理解されていないと強く感じているという事になります。
相手からしたら理解されてないですし、誤解されていると相手は思っているわけですから、被害を被ったと相手としたら感じます。
※怒りの感情については、「怒りと悲しみの具体的な聞き方」を参照ください。
それが怒りとなり出てくるのです。
③価値観が出てくる。
「なぜって、そりゃ俺はあんな細かいミスよりも、仕事では全体的にうまくいけばいいと思っている。」
「だから、あんなミスっていうけど、お前からいったらミスじゃない。」
といったように、細かいことは関係なく、仕事では全体を大切にしている。
という相手の価値観出てきています。
このように、”なぜ”と聞かれると、その行動をした背景にある大切なもの。
つまり、その人の価値観が出てくることもあるのです。
④原因が出てくる。
「私とAさんとの連絡が上手くいっていなくて、私の意図がAさんに伝わっていなかったこと。」
「これがミスの原因だと思う。」
といったように、”なぜ”そのミスをしたのかという原因が出てくるケースもあります。
このように、”なぜ”という質問をすると、
相手からしたら色々な方向性で答えることができる為、
結局あなたが聞いたとしても、欲しかった答えが返ってこないことがあります。
すると、また別の質問をしなければいけない為、相手に負担を掛けてしまいます。
また、カウンセリングにおいては、意図をもって聞く事が大切ですから、
自分の意図した方向性と違う返答がくる可能性がある「なぜ」という質問は、
あまり使わないのです。
※意図に関しては『聞く技術を上達させるたった一つのコツ』をお読みください。
このように4つの理由から、なぜという質問はダメなのです。
”なぜ”の代わりの質問。
では、なぜと聞く代わりにどのように僕たちは聞くのかというと。
遠回しに言わずにストレートに聞く事が多いのです。
ミスの原因が知りたければ、
「そういったミスが起きた原因はどこにあると考えていますか?」
と聞いた方がいいでしょうし、
そんなミスをしてしまった背景を知りたければ、
「あなたほどの人がそんなミスをするのはよっぽどの理由があったからでしょう。」
「よかったらその理由を教えてくれませんか?」
といったように聞きますし、
ミスをしたプロセスを聞きたければ、
「どのようにそのミスが起きてしまったのか、プロセスを詳しく教えてもらえますか?」
といったように聞いたほうがいいかもしれません。
このように、自分が何を聞きたいかによって質問を変えてみること。
これが”なぜ?”という質問を繰り返すよりも大切なのです。
なぜなら、何を聞きたいかを意識することで、
あなたが聞きたいことがよりストレートに聞けるからです。
僕たちは結構遠回りをしすぎてしまうんですけど、
それって相手に負担をかけていることでもありますから、
時にストレートに聞くことって大切なのです。
なぜのかわりの質問。
また、なぜの替わりに「どのように」という質問や「何が」の質問も有効です。
「なぜそんなことしたの!?」という質問を僕たちがする時は、
大抵その理由を知りたかったり、なぜそんなことが起きたのかを知りたい場合が多いですよね。
でもそこで「なぜ」から始まる質問をしてしまうと、
その理由やなぜそういったことが起きたのかの返答がこないことがあります。
そんな時は、「なぜ」の替わりに「何が」の質問が有効です。
「なぜそんなことをしたの!?」ではなくて、
「何があったの?」と聞くのです。
後者の方が前者よりもニュートラルですし、
行動ではなく、出来事に対して焦点を当てていますから、
相手も答えやすいのです。
また、何が起こったかをより詳しく知りたい場合は、
「どのように」の質問が「なぜ」よりも断然役に立ちます。
「なぜそんなことを言ったの?」といっても結局話は堂々巡りになってしまいますから、
それよりも「どのように言ったの?」と、具体的にしていくことの方が役に立ちます。
「なるほど。そういったのね。それで相手はどのように答えてくれたの?」といったように。
他にも「なぜそんなことをしたの?」ではなく、
「どのように本当はそれをしようとしたの?」と聞いた方が役に立ちます。
このように「なぜ」と聞く替わりに「どのように(how)」「何が(what)」と聞いたり、
時に、自分が聞きたい意図を自覚しストレートにそれを聞いてみましょう。
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