人の話を聴く時に、大切な視点が2つあります。
それは、「期待」と「大切にしたいもの」です。
人が話をするのは、聞いて欲しいからです。
そして、何を聞いて欲しいのかというと、
気持ちを聞いて欲しいんです。
どんな気持ちを聴いて欲しいかというと、
本当は手にしたかった気持ち、
手にできなかった気持ちを聞いて欲しいんです。
人は、行動する時にどうしても「期待」します。
相手にも自分にもです。
「おはよう!」っていったら、
「おはよう!」って返してほしいですよね。
例えば、良かれと思って「こうした方がもっとうまく仕事できるよ!」
ってアドバイスした時は、「あ、そうなんだ!さすがだね。教えてくれてありがとう!」
って、喜んでもらいたい。自分のことを認めてほしい。仕事を効率的にしてもらって、
お互いにいい仕事がしたい。
という「期待」があるかと思います。
でも、「そんなんわかってるよ!」なんていわれると、
イラッときますよね。「なんだよ!せっかく教えてあげたのに。」
なんて思うわけです。
それは、なぜでしょうか?
答えはもう出ていますね。期待が裏切られたからです。
本当は、先ほど書いたように、
・喜んでもらいたい。
・自分のことを認めてほしい。
・仕事を効率的にしてもらって、お互いにいい仕事がしたい。
という期待通りにいかなかったから、イラッとするんです。
自分の思い通りにしたいという気持ちもあるでしょうが、
この期待が満たされなかったので、そういうイラッとする気持ちが起きたといえます。
このように人がコミュニケーションを取るときには、「期待」が多くの場合あります。
そして、人が悩む時はこの「期待」が満たされなかった時に、
悲しかったり怒ったり、寂しくなったりするからです。
この期待が満たされれば、例えば先の仕事の例だと、
・喜んでもらいたい。⇒人の役に立つことで貢献している気持ちを感じ社会とのつながりを感じたい。
・自分のことを認めてほしい。⇒人から必要とされる実感を伴い安定感を感じたい。
・仕事を効率的にしてもらって、お互いにいい仕事がしたい。⇒いい仕事ができれば、お互いに充実感を感じたい。
といった味わいたい「大切な気持ち」を味わうことができるわけです。
でも、それが感じることができない為、
悩み苦しんだりするんです。
例えば彼に振られて、苦しいというのも、
彼とこの先も一緒にすごしたい、一緒に隣で笑っていたい、支えてほしいという期待があって、
その期待通りにいけば、二人とのつながりをより感じることができて、日々に安定感がますでしょうし、
彼とのつながりも今まで以上に感じるでしょう。
支えてもらうことで、一人でできないことを受け入れる勇気を持つこともできますし、
一人じゃない、助けてくれる人がいるという安心も感じることができます。
そして、一緒に過ごす時間が長ければ長い程、私一人ではなく、彼といる私という自分も心の中で
そだってきますから、自分に対しても心強さを感じることができます。
でも、振られたということは、そういう期待通りにはいかなくて、
そのさきに求めていた大切な気持ちも感じることがもはやできなくなってしまった。
だから、悲しく(ショック)、取り戻せないとおもって涙がでますし、
つながりが失われたからこそ、それをまた求める気持ちが起きて寂しさが生まれ、
もう、そんな気持ちを味わって欲しくない、なるべく痛みを感じてほしくないから、
諦めさせようとして、「ダメ、もうおわったんだから」と自分に言い聞かせる心がでてきます。
このように、多くの悩みや、その中の痛みの中には、
本当はしてほしくないことをされたり、
本当はしてほしかったことが(期待)が満たされなかったからこそ、
いろんな気持ちが湧いてきます。
そこで、人の話を聴く時に大切な視点は、
「目の前の方は、何を本当は大切にしたかったんだろう?」
そんな視点で話を聴くことです。
すると、出来事自体を聴こうとするのではなく、
その背景に思いをはせて話を聴くようになりますから、
今まで見えなかった相手が見えてくることもあったりするんですよ。
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