話を聞きたいのに、

相手が話をしてくれないという時ってありますよね。

 

「私としては、意見を聞きたいし、どんなことを考えているのかとか、何をしたいのかとか気持ちや考えを聞きたい。」

だけど、その意に反して相手がなかなかそういったことを話してくれなかったり、

そういった考えや気持ちまでいかなくとも、

もう少し相手が話してくれたらいいのに。

 

そんな思いを持っていても、

コミュニケーションは双方向ですから、

いくら聞き手側が頑張っても、

相手が話をしてくれない時はあります。

 

ただ、それでも聞き手側として出来ることはあります。

 

今日は、どのように聞き手側が工夫をすれば、

相手があなたに話をしてくれる確率が上がるのか。

 

そういったことをいくつかお話をしていきます。

 

相手の話をもっと聞きたいという思いは大事ですからね。

それは、

相手をもっと知りたい。

相手のことをもっと理解したい。

相手の気持ちを受け止めたい。

そういったことの裏返しでもありますから、

その思いが少しでも叶うように、

早速何ができるのか見ていきましょう。

話してくれないのは、聞くペースが合ってないからかもしれない。

さて、最初の要因です。

 

それは、相手が話をしてくれないのは、

相手が自分のペースで話が出来ず、

話づらいからかもしれません。

 

どういうことかといいいますと、

普段話す速度が遅い方というのは、

相槌が早くて声のトーンが高く、

「うんうんうん。それで、それで?」

といったような早いペースで話を聞かれると、

なんだかせかされているようで戸惑ってしまうことがあります。

 

それが結果的に「話づらいな~…。」という印象に繋がってしまうことがあります。

 

これは、逆もまたしかりです。

 

普段話す速度が速い人は、

相槌が遅かったりゆっくり聞くタイプの聞き手だと、

ちょっと話づらいかもしれません。

「それでね!こんなことがあってね!でね!」

といったように話をしている時に、

「うん…。へ~~~。」

といったように遅いペースで聞かれると、

ちょっと拍子抜けしてしまい、

話たい気持ちがちょっと減ってしまうかもしれません。

 

ですから、そういった時はペーシングというテクニックが役に立ちます。

ペーシングとは、相手の声のトーン・テンポ・リズム・表情・状態・呼吸などの非言語を合わせてみることです。

 

このペーシングというテクニックで、

相手の非言語に合わせていくと、

相手は話やすくなります。

 

というのも、声のトーンや速度や呼吸などを相手に合わせますから、

自分のペースで聞かなくなり、

相手のペースで聞けるようになります。

 

そして、このペーシングで特に大切なのは、

呼吸と話す速度・声のトーンを合わせていくことです。

 

では、どのようにそれらを合わせたらいいのでしょうか?

 

呼吸を見るには、肩が動いたり、お腹や胸が動くのを見るのがいいでしょうか?

ただ、そういったところを見てコミュニケーションをするのは、

現実的に考えてちょっと厳しいですよね。

 

男性だとセクハラになってしまいますし。(;’∀’)

 

では、どのように合わせたらいいのか?

というと「相槌」を合わせていけばいいのです。

 

人は、息を吐きながらお話をしています。

息を吸いながらお話をすることは出来ません。

 

そして、人は相槌をした時に自然と息を吸っていることが多いのです。

「それでね。こういうことがあったんですよ。」

といって会話の一区切りで相槌をする人は多いですよね。

そういったタイミングで、

相槌をして首を下げて上げる瞬間に息を吸っているのです。

 

そして、相槌の速さと話す速度は連動しています。

 

さらに、

相槌の深さは喉の潰れ具合と大きく関係しています。

その喉の潰れ具合が声の高低に影響します。

ですから、声が高い方というのは深く頷くというよりも、

深く頷くというよりも、

軽く小刻みに頷き、喉がつぶれませんから声の通りがよく、

声のトーンは高くなります。

 

また、「うむ。」といったような、

漫画に出てくるように頷きは、深いですよね。

そうすると、喉がつぶれて声に重みが出てきて、

声のトーンが低くなりますよね。

※ただ、声のトーンは姿勢とも連動していますので、

ペーシングをする時は、姿勢も何となく合わせるのがコツです。

 

このように相手の相槌を合わせていくと、

・呼吸/話す速度/声の高低

があってくるのです。

 

最初は自分の相槌の癖が出てきたり、

ついつい自分のペースで聞きたくなりますが、

繰り返し練習していけば、

相手のペースに容易に合わせることが出来るようになりますから、

是非やってみてくださいね。

 

上手になってくると、

自分のペースで聞くのではなく、

相手のペースで話が聞けるようになってきます。

 

すると、相手はあなたに話をしていると、

「なんだか話しやすいな。」

といったように感じて、

より話してくれるようになります。

 

そして、あなた自身としては、

相手の”間”と”リズム”がわかってくるようになりますので、

よく会話の中であるような、

言葉を発するタイミングが被って、

”あ、どうぞどうぞ。”

みたいなことはかなり少なくなってきます。

聞き手の伝え返しが少ないかもしれない。

ではでは、次の要因です。

それは、あなたが相手の話を聞く時に、

伝え返しが少なかったり、

質問ばかりになってしまっているからかもしれません。

 

どういうことかというと、

相手が話してくたことに対して、

何かしらコメントをしたり、

共感や受容・労い・褒める等のメッセージが少ないのかもしれないということです。

 

例えば、

「最近仕事忙しいんだよね。」

と相手が話してくれた時に、

「どうしたの?」

といきなり聞くこともできますが、

「そっか。忙しいと大変だよね。何があったの?」

と忙しいことを受容して質問をすることもできます。

 

このように相手が伝えてくれたことに対して、

僕たちは常に何か受け止めたり、

共感をしたり、

労ったりとそういった一言を

相手に伝え返すことが出来ますが、

僕たちはそれをついつい忘れてしまいがちです。

 

そしてついついそうなってしまうと、

矢継ぎ早に質問ばかりをしてしまいます。

「仕事忙しいの?何が?」

「そっか。決算期なんだ。で、具体的にどんなことが忙しいの?」

「誰か手伝ってくれる人はいないの?」

「いつも今の時期は忙しいの?」

「帰りは何時ごろなの?」

「お休み取れているの?」

といったように聞きたいことをどんどん聞いていきますが、

その質問に対する答えに対して、

僕たちは、

「ちゃんと聞きましたよね。受け止めているよ。」

といったメッセージを相手に伝えずに、

要するに相手の言葉を伝え返したり、

共感的な言葉や受容的な言葉などを伝え返さずに、

次に次にと質問して話を聞いてしまうのです。

 

すると、相手も質問ばかりだと辛いですから、

話づらくなってしまったり、

話してくれなくなってしまったりするのです。

 

質問というのは、

相手に自分の心の内面を探ってもらう行為ですから、

相手に心理的な負担をかけてしまうのです。

 

そして、僕たちが質問をする時というのは、

自分が状況を知らないから聞くのであって、

相手からしたらもう体験済みのことであり、

それを相手から教えてもらっているのです。

 

ですから、

自分の知らない情報を埋めるための自分の為の質問をしている

ともいえるのです。

 

だからこそ、答えてくれたことに対して、

何かしらコメントをしていって、

その内面を探る心理的負担を労わっていきましょう。

というのが、相手の話に対して質問をしたら、

何かしらコメントをしましょうという意図なのです。

 

もう一つの意図は、

こういった伝え返しにより、

相手は自分の気持ちが整理されたり、

気づきに繋がるようなことなども多く、

会話を円滑にする一つの潤滑油になりますから、

会話の中で伝え返しをするというのは、

とても大切なのです。

 

そして、質問をしたら

何かしら受容や共感・労いなどをしていくことの最後の意図は、

人は「受け止めてもらえた。」「分かってもらえた。」

と思うともっと話をしたくなるからです。

 

でも、具体的にどうやるの?

ちょっと難しくない?

と思うあなたに最初の簡単なステップをご紹介しましょう。

 

それは、相手が質問に対して答えてくた時、

その答えをオウム返しすることです。

 

オウム返しとは、相手の言葉の語尾や単語などを伝え返すことです。

 

先の例で言うと、

「最近仕事が忙しいんだ。」

➡「仕事忙しいんだ。何かあったの?」

「いやね。なんか新商品の開発が重なってさ、スケジュールがタイトなんだよ。」

新商品の開発が重なったんだ。それは大変だね。それでどんな新商品の開発に携わっているの?」

といったように相手の語尾や単語などをピックアップして、

それを伝え返した後に質問をする。

 

つまり、オウム返し+質問をするということです。

 

最初は、この辺りから入って、

質問をしたら伝え返しをするということを練習してみると、

段々出来るようになってきますから試してみてくださいね。

 

これが出来るようになると、

相手としても受け止めてもらえたと感じて話してくれる量も増えますし、

あなたのコメントによって何か感じることがあれば、

より内面を話してくれる量も増えることも期待できるのです。

 

ただ、オウム返し+質問を繰り返しているだけだと、

そうはならずに、

「なんだか繰り返すだけじゃない。」

となってしまって、

かえって相手が話してくれないこともありますから、

そこは気を付けてくださいね。

関係性が出来上がっていないからかもしれない。

コミュニケーションにおいて基本となるのは、関係性です。

 

この「関係性」は何を意味しているのかと言いますと、

「お互いに安心して気持ちのやり取りが出来る関係性」のことを指します。

これを心理学では”ラポール”と言います。

 

なぜこのラポールの話をしているかと言いますと、

相手が話をしてくれない一つの要因は、

このラポールが築かれていないからです。

 

相手が安心してコミュニケーションができない状態ですと、

そもそも話がしづらいですし、

話をしてくれません。

 

安心できない状態というのは、

例えば信頼が出来ないとか、

話を否定されることが多そうとか、

共感してくれないといったような、

安心して話が出来ない状態を指します。

 

人は、安心できる状態になって始めて、

自分の内面を話すことが出来ますから、

まずはこのラポールを気づいていくことが大切です。

 

このラポールを築くには、最初の方に書いた「ペーシング」の技術が大切です。

それに加えて、

否定せず、

アドバイスを極力控え、

共感や受容を持って聴いていくことがやはり基本になります。

 

また、親しければラポールが出来ていると

ついつい思ってしまいますが、

それと相手が気持ちを話してくれるかは、

実は別なのです。

 

あなたもこんなことを思ったことはありませんか?

「この人とは、遊ぶのはいいし一緒にいて楽しいけど、真剣な話はちょっと厳しいかな。」

といったような”線引き”です。

 

人は気づかないうちにこのような線引きを関係性の中にしています。

ですから一緒に遊んでいるからとか、

仲がいいから”話してくれる”というと、

それはまた別なこともあるのです。

 

その為、そういった近しい人の話を聞く時も、

やはり他の人と変わらずに、

ペーシングをしながら、受容、共感などを通して、

相手が安心してコミュニケーションが取れるように、

サポートしていくことは必要なのです。

 

親しき中にも礼儀ありという言葉があるように。

相手の話を取ってはいませんか?

話を聞いているようで、

自分の意見や考えを伝えたり、

自分の興味がある方向性の話を聞いてしまって、

結果的に相手の話題をとってしまっていたり、

相手がしたい話が出来なかったりといったことがあります。

 

そういったことが多くなっていくと、

相手の心の中に「結局聞いてくれないしな…。」

なんて考えが浮かんで、

あまり話をしたくないと思ってしまうこともありますから、

話を取らずに相手の話を聞いていくというのは、

意外と大切なのです。

 

ですから、

最初は自分の話をしない。

自分の意見を伝えはするけれども、

それに相手を引っ張らない。

 

自分の興味から話を聞きすぎると、

話が自分が聞きたい方向になり、

相手が話したい方向性とズレることがありますから、

自分の興味から聞きたいことを最小限に抑えて、

相手の話をまずはそらさずに聞くということが大切です。

 

この時に大切になってくることは、

相手の話をイメージとして頭の中で思い描きながら聞いていくことです。

 

例えば、「最近仕事が忙しくて。」と相手が話した時というのは、

どんなイメージが浮かびますか?

 

僕の中では、仕事に追われていて業務量が多くて、

一人でてんぱっている姿か、

残業が多くて疲れている姿が思い浮かびます。

 

人は、こういったイメージを自然と思い浮かべながら聞いています。

 

そして、この絵を相手の話により修正しながら聞いていくことが、

誤解のないコミュニケーションをする上では大切ですが、

今日はちょっとそのテーマではないのでそれはちょっと省きます。

 

ここでまた、相手が話したい話を聞くという観点に戻しますと、

その思い浮かんだイメージ(仕事が忙しい)を下に話を聞いていきます。

 

そして、例えば話が「残業が多く忙しい。」という展開になったとしましょう。

すると、残業が多くて忙しくしている場面がイメージされますよね。

 

そこで

「残業大変だよね。私もさ残業多くて、

でも何とか時間をやりくりして実は最近ジムいって気晴らししているの。

あなたは何かそういう時間取っている?」

といった話をあなたがしたとしましょう。

 

すると相手が答えてくれることは、

”仕事”から離れて”気晴らし”のことになりますよね。

 

そうすると、

当初の「最近残業が多くて仕事が忙しい。」というイメージが

「気晴らし」に付いてのイメージに切り替わりますよね。

 

つまり話題がメインと逸れているのです。

 

このように逸れていくと、

仕事が忙しくいという当初の話を相手が出来なくなってしまいます。

 

ただ、ここで聞き手側が逸れていることに気づければ、

話を戻すことが出来るのです。

 

ですから、話を聞く時は話をそらさずに、

まずは相手が話したい話をして、

それを聞いて受け止めていくということも大切なのです。

アドバイスが多いからかもしれない。

人が話をする時というのは、

感情が動いたからです。

 

その動いた感情をあなたに聞いて欲しいのです。

 

ただ、せっかく相手が話してくれたのにも関わらず、

僕たちはその感情や考え、思いを否定してしまうことがあります。

 

すると相手は話をする気持ちがなくなってきてしまって、

あまり話をしてくれません。

 

また、アドバイスも結局相手の考えや思いや気持ちを否定する結果になってしまうことがあります。

 

例えば、彼に振られた人に対して、

「いつまでも泣いててもしょうがないじゃない。早く忘れた方がいいよ。」

とアドバイスをしたとしましょう。

 

この言葉を伝えた本人としては、

「もう苦しんでいるのを見ていられない。前を向いて欲しい。」

そんな願いがあるでしょう。

 

でも、伝えられた側としてはこのようには受け取らず、

「泣いていてはダメなんだ…。忘れなきゃダメなんだ。忘れたくないのに…。」

というように自分の気持ちを否定されたように感じてしまうことがあります。

 

すると相手としては、

”わかってくれない。”という思いがたまってきますから、

あまり話をしなくなってしまうかもしれないのです。

 

ですからアドバイスをする前に、

否定せずにしっかりとまずは相手のその動いた気持ちを話し切ってもらう

ということがとても大切になってくるのです。

相手がそもそも話をするのが苦手なのかもしれない。

相手が話をあまりしてくれないのは、

あなたに要因があるわけではなく、

そもそも相手は話すこと自体が苦手なのかもしれないということです。

 

相手が話すことが苦手な以上、

聞き手がいくら頑張っても、

相手からうまく話を聞けないということは起きてきます。

 

では、その場合は聞き手は何もできないのかというと、

そんなことは勿論あります。

この記事にも書いたペーシングをしたり、

質問とケアをしたりしながら、

相手が安心して話が出来るように、

まずはサポートすることが出来ます。

 

また、その話すのが苦手だという意識に対して、

声を掛けてあげることもできます。

 

話すのが苦手という意識がある人は、

「相手に迷惑をかけている。」

「気まずい雰囲気にして申し訳ないな。」

「あ~、また上手く話せなかった。」

といったようなことを感じる方も多いですから、

そういった背景にある気持ちを汲んで声を掛けることで、

相手が少しでも安心してくれるように援助することが出来ます。

 

つまり気持ちを汲むという方向性の話の聞き方です。

 

例えば、

「話をするって難しいですよね。僕も言葉に詰まったりしますもん。

ゆっくりでいいですし、話せる範囲んで構いませんからね。」

「上手に話さなくても、話せなくても大丈夫ですからね。

今までの話でも十分に○○さんの気持ちは、

僕には伝わってきていますから。」

「こうやって話そうとしてくれることだけでも嬉しいんですよ。」

「だから迷惑をかけているとか考えなくても大丈夫ですからね。」

といったように言葉を掛けることで、

相手に安心して話してもらえるように援助をすることが出来ます。

 

そして、この相手の気持ちを汲んでいく方向性は、

例えばですが、

「その時に○○といったかったように見えますが…。」

「そういう時って戸惑いますよね。」

「心の内では、○○と思っていたのに、

それがAさんに伝わらないのはもどかしいかったですね。」

といったように相手がまだ言葉にしていない気持ちを言葉にする。

という方向性で、

相手が語りやすいように援助をしていくこともできます。

 

また、これは聞き手側が話し手の気持ちを汲んで聞くという方向ですが、

話し手側にその気持ちを話してもらえるように質問をしていく

ということもできます。

 

例えば、

「○○ということをしたのは、

あなたなりの思いがあったように感じますが、

どのような思いで○○をしたのでしょうか?」

「その○○をしたいという気持ちを支えている思いは何でしょうか?」

「自分も苦しいのに、そんな時にも人を気遣えるその思いやりはどこから来るのでしょうか?」

「諦めたくない。その気持ちの裏には、強い意志を感じます。

どのような思いがその原動力になっているのでしょうか?」

といったように気持ちの奥にあるものを質問を通して、

相手に語ってもらうという方向性です。

 

ただ、これはちょっと難しいですね。(汗)

まとめ

さて、かなり長くなってしまいましたが…。

いかがでしたでしょうか?

 

相手が話をしてくれない場合は、

・ペースがあってないかもしれない。

・伝え返しが少ないからかもしれない。

・関係性が出来上がってないからかもしれない。

・相手の話を取ってしまうからかもしれない。

・アドバイスが多いからかもしれない。

・相手がそもそも話をするのが苦手かもしれない。

といったことが考えられますから、

書いた記事で参考に出来る所がありましたら、

参考にしていただけたら幸いです。

 

少しでも、あなたが相手の話を、

そして相手の思いを聞けて、

受け止められますように。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。