傾聴基礎コースで、

「相手をしっかりと理解したい。」

という受講生の言葉を聞いて、

改めて「相手を理解する」とは何かについて考えてみました。

 

僕たちは、

相手を理解しようとする時、

「相手の話を理解しよう」とします。

 

小さい頃から言われてきましたよね。

「ちゃんと相手の話を聞いて理解するんだよ。」って。

だから話の内容を聞いて、

状況や何が起こったのかを理解しようとすることで、

相手を”正しく”理解しようという傾向がありますし、

”話の内容や状況を聞かないと相手を理解できない”

と僕たちは考えがちです。

 

ですから、言語的コミュニケーションに意識がいき、

相手が語る内容から相手を理解しようとするのです。

 

でも、

コミュニケーションは、

言語的コミュニケーションと、

身振り手振り声のトーン・表情などの

非言語コミュニケーションがありますから、

言語的コミュニケーションだけを理解しようとしても、

相手を理解する上では不十分なのです。

 

ですから、

相手の言葉(言語的コミュニケーション)と、

それに付随して表れる非言語に耳を傾けることが大切なのです。

 

声のトーン・強弱、

身振り手振り、

表情の変化、

姿勢などです。

 

ここに相手の”感情”が主にあらわれるのです。

 

では、言語的に相手が語る内容を理解して、

非言語的にも相手の”感情”を理解すれば、

相手を理解することになるのかというと、

それもまだ不十分です。

 

感情が生まれる裏には、

価値観が隠れています。

 

つまり、その人が大切にしたいことです。

 

仕事で「効率」を大切にする人は、

如何に無駄なく仕事をすることを考えますし、

無駄が多い人を見るとイライラします。

 

それは何故かというと、

自分”効率”という価値観に反するからです。

 

ですから、

例えば部下に無駄が多い(無駄はあるけど成果は出している。)場合、

成果は出していたとしても、

イライラが湧いてきて、

時に怒ってしまうこともあります。

 

このように感情が生まれる裏には、

価値観があります。

 

では、価値観をプラスで理解すれば、

相手を理解したことになるかというと、

それも不十分です。

 

相手を理解するには、

まだまだ理解するべきことがあります。

 

それは例えば、

・相手の長所・短所

・相手の得意なことや苦手なこと。

・相手自身だけではなく、周りにいる人たち。

・相手に影響を与えてきた人たち。

・年齢や生まれてきた時代背景。

・育ってきた環境。

etc.

 

このように相手を理解しようと考えたら、

把握すべきことが沢山出てくるのです。

 

でも、すべて把握なんて到底できません。

 

そこでカウンセラーがどこを聞いているのかというと、

・家族歴(家族構成など。)

・主訴(一番困っていて解決したいこと。)

・主訴を語る時のクライアントの心の状態(疲弊していないかある程度はまだ元気あるか等。)

・相談内容を語る時の非言語。

・その困っていることが起きる場面。

・その時のクライアントの反応と周りの反応。

・その反応に付随している心の癖と強み。

・感情的な苦しみ。

などです。

 

主にこういったことを言語・非言語的に聞いていくことで、

相手を理解しようとします。

 

その人全体を理解しようとするのではなく、

困っていることを中心として、

その裏や表に起きていることを、

言語・非言語的に理解しようとすることで、

相手のその困りごとが改善されるように、

カウンセラーは話を聞いているのです。

 

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。