カウンセリングの始める際に注意することは、
その時の相手の力の度合いです。
この力の度合いは、
「心身の調子の側面」と「能力」で測ります。
「心身の調子」は、言葉の通りです。
心の調子はいいのか、傷つきは深くないのか、
感情のわだかまりは強くないのか。
といったことです。
体の面は、例えばうつ症状の倦怠感や睡眠減退などの病気の症状をはじめ、
頭痛とか疲労感とかそういったものです。
「能力」とは、
論理的に考える能力や、
客観的/主観的に捉える力、
コミュニケーション力、
知的度合い、
想像力等です。
こういった二つの側面を加味しながら、
どれくらいカウンセラー側が援助をすることが必要なのか、
ということを判断していくのです。
文字で書くと簡単ですが、
判断するのはとても難しいのです。
というのも身体症状のように目に見えるものは少なく、
後は客観的に見て取れた情報や、
質問などによる受け答えなどから判断する必要があるからです。
例えば、表情が暗く、話しだすと泣いてしまうような状態は、
「心の調子」が悪いですよね。
こういう時というのは、
冷静に考える力という「能力」も落ちていますから、
状況を聞いて、
何が今回の要因だったと思いますか?
というような、
本人に考えてもらう比率が高い質問は答えられない可能性があります。
答えられたとしても、「やっぱり私が悪いんです…。」といったように、
自責が始まってしまって、
さらに泣いてしまうというような状態になってしまうことがあります。
こういった場合に、ご本人に自律的な関わりをしても上手くいきません。
こういった場合は、考えてもらう比率をかなり下げて、
負担が少ない質問をしていく必要がありますし、
援助側の力を貸す比率は高くなります。
例えば、労いをかなり多めにしたり、
こういったことを言いたかったように聞こえたんですけど、
といように援助側が相手が言いたいことを言えるように援助をしたり、
といったように援助側が力を貸す比率が増えてきます。
また、上記のような場合は、
ご本人が混乱している場合もありますから、
その場合は、本人に何かを決断してもらうのは、
とても酷ですので、
ある程度最初の導入部分の筋道を
援助側が提案して一緒に決めていくことが最初は多くなるかと思います。
一方で、考える力があり、心身ともに調子もさほど問題ない場合は、
援助側が力を貸す比率はかなり低くても大丈夫ですし、
本人に考えてもらったり、決めてもらうことが主になります。
このように本人の力加減によって援助のスタイルを変えていく必要があるのですが、
最近、もう一歩突っ込むことが大切だと教わりました。
それは、人の状態は常々変わっていくものだからこそ、
その力の度合いの見立ては、
毎回クライアントに会う度に更新していく必要があると、
そう教わりました。
「確かに。」
当然といえば、当然なのですが、
僕はこの視点が欠けていました。
人は、常々変わっていく生き物です。
調子もそうですし、固定化された生き物ではありませんよね。
ですから、その時々によって毎回その見立てを更新して、
ご本人にどれだけ考えてもらうのか、
ご本人に決めてもらうのか、
どれだけ援助側が力を貸すのか、
ということを更新しながらアプローチを変えていくことが大切ですよ。
ということをサラッと教わりました。
さて、偉そうなことを書きましたが、
その更新をして関われる日が来るのは、
もうちょっと先な気がするのでした。(苦笑)
一緒に頑張りましょう!