カウンセリングの見立てで必要な二つの視点

カウンセリングにおいて何に対して取り組むのか、

その方向性を決めるのはとても大切なことです。

その方向性を決めることを「見立て」といいます。

 

勿論、その何に対して取り組むのかという、

その心理的なテーマを持っているのは、

相手であり私たちではありません。

 

ですから、原則的には相手の話を聞いて、

相手のニーズの確認をして聞いていくことになります。

 

その相手がメインで取り組みたい心理的なテーマを

カウンセリング用語では「主訴」と呼びます。

カウンセリングではその主訴は例えば、

「Aさんに対してだけついつい怒ってしまう。」

「母に対して意見を言いたいけれどつい委縮してしまう。」

「何だかわからないけれど、最近気分がずっと落ち込んでいる…。」

「大好きな人に振られて、忘れなきゃって分かっているのに忘れられなくて苦しい。」

こういったものになります。

ただ、実際の場面では、

後者の二つに関してもうちょっと具体的に聞いていき、

そのテーマをより絞っていくことになりますが、

こういった主訴があるのです。

 

さて、先ほど原則的には、相手の主訴に対して取り組んでいくと、

そのようなことをお伝えしたかと思いますが、

そのテーマの内容とは別に、

カウンセリングにおいてはそのテーマに一緒に取り組む前に、

カウンセラー側が相手の状態を見て次の二つのことを判断します。

それは、相手の「感情的な苦しさ」と「心の癖の部分」です。

 

感情的な苦しさとは、先に挙げた例の

「最近ずっと気分が落ち込んでいる」

「彼に振られて、忘れたいけど忘れられなくて苦しい。」

といった二つにあたります。

 

要するに、感情レベルで感情のわだかまりが強く起きている状態です。

この状態では、感情のケアが最優先されます。

というのも、感情のわだかまりが強いと

人はなかなか自分の心の癖に対して取り組むことが出来ないからです。

 

先ほど挙げた例で説明しましょう。

「Aさんに対してだけついつい怒ってしまう。」

この例では、相談者のAさんに対する心の癖が表れています。

なぜなら他のAさんに対してだけ怒ってしまうという、

反応パターンを持っているからです。

 

そして、この相談者の方は怒りを抱えており、

これを何とかしたいという事ですから、

怒らなくなるというよりは、

Aさんに会った時に過剰にイライラせず、

少しでも落ち着いて接することができるようになりたい。

そんな思いがきっとあるでしょう。

 

ただ、もしAさんに対する怒りが過剰であるとすると、

その特定のAさんだけに対してイライラする心の癖の部分を扱うにも、

その怒りが邪魔をしてAさんのことを許す事も出来ませんし、

違う見方を身につける取り組みなども出来ません。

 

なぜなら強いイライラが邪魔をするからです。

皆さんも経験があると思います。

許さないといけないって分かっているけど、

イライラしてしまって許せない。

前に進まなくちゃってわかっているけれど、

悲しくて前を向けないといったように、

感情のわだかまりを抱えてしまった体験です。

 

このような状態ですとまともに心理的なテーマに

取り組むことが困難です。

 

ですから、そのような時は心の癖ではなく、

まずは「感情的な苦しさ」を扱うことになります。

これは、怒りだけではなく、

悲しみや孤独感、寂しさ、不毛感、虚しさなど、

その他の感情がつよい時なども同じです。

 

本人の主訴を聞きつつ、

本人の感情のわだかまりの度合いと、

その苦しさの度合いを受けとりながら聴いていくのです。

 

それはつまり、

本人がそのテーマと向き合える状態なのかを判断するということです。

 

勿論、もし感情のわだかまりが少なければ、

そのテーマに対して取り組んでいくことになりますが、

そうでない感情のわだかまりが強い場合は、

感情的な苦しさが前面に出ていますので、

そのケアが最優先されるのです。

 

相手の心理状態を見立てる上で、

この目下今目の前の人の「感情的な苦さ」をキャッチし、

それにより柔軟に対処することが大切なのです。

 

なぜなら今目下苦しんでいる感情の痛みは、

怪我をした時に出血して泣き叫んでいる状態に似ていますから、

まずは応急処置が大切であり、必要だからです。

 

相手が話すことも大切ですが、

今目の前に出ている痛みにも寄り添いながら

援助をしていきたいものですね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 ・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行ってる。また、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。目指すは、「記憶に残らないカウンセラー」。カウンセラーのおかげより、自分の力で前に進めた実感を持ってほしい。ただ、理想への道のりは長い!
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