劣等感が強い人への対処法

劣等感を感じる時は、人それぞれですが、

人生に何度かは多くの人は感じたことがあるのではないでしょうか。

僕自身も引きこもっている時や、

他の人の人生と比べる時等も劣等感を感じますし、

それは今でも感じることがあります。

 

今日はこの劣等感に関してお話をしていきたいと思います。

 

特に今回は自分が劣等感をどう克服していくのか、

というお話ではなくて、そういった劣等感を抱える方が来た時に、

どのようにお話を聞いていったらいいのかという、

援助の方向性という観点でお話をしていきます。

ではでは参りましょう。

1.見返す

劣等感の中には、怒りと悲しみがありますが、

特に怒りを強く感じる時があります。

 

「俺だって、私だって本当は今頃…!」

「俺だって、私だって本当はこうしたいんだ!」

なんていう強い想いが隠れています。

 

人は劣等感を感じるからこそ、

それを克服しようとして、

行動に移すことができます。

 

アドラーは、これを補償という概念で説明していましたね。

人は劣等感を感じるけれど、それを克服し、

補うべく行動を起こしていくと。

 

人から劣っていると感じることは、

特に悪いことではありません。

なぜなら劣等感を感じるからこそ、

そのエネルギーを行動に昇華できる事があるからです。

 

だからこそ、そういった劣等感の中にある悔しさ、

そのままでいたくない気持ちの声にこたえて、

劣等感を克服すべく行動していく。

 

相手を見返していく。

 

そんな方向性もあるのです。

ですから、劣等感を感じる方が相談に来た時に、

相手を見返してやるとか、

そのままでいるのは、悔しいし、

その何とかしたい気持ちに応えてあげよう。

そんな方向性で、悔しいままでいない。

 

その為に、そのエネルギーを活かして

行動に移していく。

 

そんな援助の方向性もあるのです。

2.傷ついてきた自分を癒す。

さて、もう一つの方向性は、

傷ついてきた自分を癒す方向性です。

 

人は、誰かと比べて強い劣等感を感じる時、

この背景にはある出来事が必ずあります。

 

それはどんな出来事かというと、

劣等感を強く感じた出来事です。

 

それは、相手が持っていて、

自分がないものに気づいたからかもしれません。

いくら努力しても手に入らないような、

「ものが違う…。」そんな瞬間かもしれません。

 

いずれにせよ、その時は心はとてもショックを受けたのです。

そして、それまでの自分を否定せざるをえないような、

そんな出来事であり、心が傷ついたのです。

 

ですから、その傷ついた自分を癒していくことも

劣等感を克服していくには大切なのです。

 

この劣等感を癒していくという事は、

傷ついた自分を癒していく方向性であり、

傷ついた自分を癒す方法は沢山あります。

例えば、その時の気持ちを紙に書いて、

振り返ってもらい、別の紙に慰めの言葉を書いてもらったり、

その時の気持ちを思い出してねぎらってもらうことも出来るでしょう。

3.今までの自分と違う出来る自分を作っていく。

最後は、今までの自分と違う、

つまりその劣等感を感じている自分から離れて、

今この瞬間から「新しい自分」を作っていくことです。

 

「新しい自分」を作っていくというはどういうことでしょうか。

 

それは、ダイエットの成功例をお話した方が分かり易いかと思いますので、

ダイエットを例にして説明していきますね。

 

ダイエットで成功してリバウンドがある人の共通点は、

昔の延長線上に、今の自分がいることです。

つまり、過去の線の上に今の自分がのっかっているということです。

ということは、痩せている自分が本当の自分出るというよりは、

以前の太っていて○○な自分が自分であるという認識が強いという事です。

 

ですから、自己認識のレベルで認知が変わっていないので、

前の自分に戻りやすいのです。

 

一方ダイエットで成功してもリバウンドがない人の共通点は、

新しいアイデンティティーになっている点です。

これは、過去の延長線上に今の自分がいるのではなく、

過去の自分とは違う、

別のラインの上を今歩んでいると感じているということです。

つまり、新しい自分がつくられたということです。
(自己認識のレベルで。)

 

劣等感も同様です。

誰かから劣っている自分が自分ではなく、

その自分から離れて、新しい自分を作っていく。

それも今これから、この瞬間からです。

 

それには、

「昔はそうでしたよね。そして今からはどういった自分で生きていきたいですか?」

という質問が役に立つかもしれませんし、

「そうですよね。昔はそういったところがありましたよね。でも今のあなたは違いますよね。」

といったように分割が役に立つかもしれません。

 

勿論、本人がそういった新しい自分を作っていくことを

望めばということが前提つきではありますが。

 

このように新しい自分を作っていくことで、

劣等感を克服していく。

そんな取り組み方もあるのです。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

劣等感を克服する為の3つの方向性のお話をさせて頂きました。

 

一つ目は、見返すという方向性です。

怒りのエネルギーを昇華し、それを行動の原動力に変えていく方向性です。

 

二つ目は、傷ついた自分を癒す方向性です。

劣等感を感じるということは、特定の誰かかもしれませんし、

見えない誰かかもしれませんが、そういった誰かと比較をしたり、

そうった人が目の前で自分が出来ないことや、

手に入らないようなことを手にしている姿を見て、

傷ついた出来事があるのです。

 

ですから、その傷ついた自分を癒してあげる。

そんな方向性が二つ目でしたね。

 

3つ目は、新しい自分を作っていく。

これは、今までの自分から離れて、

新しい自分を作っていく、

積み上げていくことで劣等感を克服する方向性でしたね。

 

このように劣等感を克服する方向性は大きく分けて3つありますから、

もしあなたの目の前に劣等感を抱える方が相談に来たら、

このことを思い出して援助に役立てて下さいね。

 

あ、最後に重要なことを伝え忘れていました。

この方向性は当然の事ですが、

あなたが決めるのではなくて、

ご本人が決める事ですので、

その点だけご注意下さいね。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。