対人援助の原則は、やりすぎないこと。
だれかの力になりたくて、心理カウンセラーになりたい方は多い。
そして、この力になりたいという思いはとても大切で、
仕事をする上でのモチベーションにもなります。
一方で、この思いの根底には、
自身の「力になれなかった。」という経験があることがあることがあります。
僕自身、カウンセラーになりたかったというよりも、
この過去の「力になれなかった。」という経験が一つのモチベーションとなり、
「今度相談された時は、もっとましな人間になっていたい…。」
そんな思いから、対人援助を志したという経緯がありますから、
僕はこの「力になれなかった。」に当てはまるわけです。
さて、なぜこのお話をしているかというと、
いつかこの「力になれなかった。」という自分を許すことが必要な時がきっと来るからです。
強いモチベーションとなっている内はいいのです。
しかし、それが強すぎるとついついやり過ぎちゃうのです。
「あの時できなかったこと。」
「あの時力になれなかったこと。」
を今度は挽回しよう!と思って、
やりすぎてしまうことがあります。
しかも、そのやりすぎは自覚はしているのですが、
止まらないのです。
それは、今もあの時の記憶が心の中に鮮明に残っていて、
あなたの心が、もうあんな思いをあなたにさせない為に、
「ほら!今度は、頑張るんだよ!」って、
応援してくれているからです。
だから止められないのです。
心がもう十分だった。
あの時はベストだったと、
もうあの時からは、ずいぶんと成長したんだって分かるその時まで、
なかなか止められんのです。
そうすると、実際の援助もうまくいかない。
なんてことも多くなってきます。
それは、カウンセラー側が頑張り過ぎちゃうからです。
すると、本来はクライアントさんが頑張るべきところを、
カウンセラー側ががんばっちゃいますから、
クライアントさんが自立しなくなり、
自分で考える比率も少なくなり、
やっぱり上手くいかないのです。
もちろん、カウンセラー側が頑張るところも沢山あります。
一方で、カウンセラー側が引くべきところも沢山あるのです。
そう、バランスが大切です。
もし、あなたが本気で心理カウンセラーになりたくて、
いつの日か、やりすぎてしまう自分に気づいたなら、
それはきっと自分を許すタイミングです。
カウンセラーの道は、相手と向き合う道。
そして、「自分とも」向き合う道。
丁寧にお互いに歩んでいきたいですね。
その行く道でお会いできる時を楽しみにしています。
諦めないでくださいね。