カウンセリングをしていて、

この人を”信用”する。

というテーマを持っている方がいらっしゃいました。

 

人の事が信用できなくて、

ちょっとしたやさしさに触れた時でさえ、

その優しさが実は作りものじゃないかと思ってしまう。

 

「自分にこんな優しくしてくれるには、何か裏があるに違いない。」

「信じても、、、結局また裏切られる。」

そんな思いが、体験が背後にある事が間々あります。

 

誰かを信じて、

その誰かに裏切られるっていうことは、

心が痛いんです。

 

もう、あんな痛みはしたくない。

だからこそ、信じない方がましだって。

そして、裏切られた事への恨みや、怒りが消えずに、

真正面に人の事を見る事ができなくなってしまう。

 

何もそれは、本人のせいでも、

”裏切った人”のせいでもありません。

 

だれも責める事はできないけれど、

ただ一つ確かなことは、

本人が裏切られたとそう感じたこと、

そして、”今”人を信じる事ができないということです。

 

人のことを信じられないと相談に来た方に、

「そんな風に本当は思いたくないし、信じられない自分が嫌ですよね。」

と、声を掛けたことがあります。

 

”人の事が信じられない”

 

そう、相談に来る背景には、本当は、、、

”また、信じてみたい”

という思いが隠れていることがあります。

 

でも、それが出来なくて、ついつい疑って、

あんな思いはもうしたくないから、

裏切られるくらいなら、信じない!

とそう思って、苦しいのです。

 

きっと本当は、信じたいし、

信頼できる人に出会いたいだろうし、

本当は信じたかったんだと思います。

 

でも、それができなかった…。

そんな痛みは、表現できないほどのものがあります。

 

では、そんな痛みを抱えて、それでも前に進みたい。

また、信じられるようになるには、どうしたらいいんでしょうか、、、。

 

すぐに明日から人を信用できるようになる。

 

そんな技術はありません。

 

何よりも、信用しないということは、

疑う力があることで、生き抜く上では大切です。

 

それをすべてなくしてしまうのも、また辛いのです。

 

では、どうしたらいいんでしょう。

 

取り組む方向性は沢山ありますが、

一つの方向性としては、

目の前の人を少しずつ信頼することです。

 

そして、同時に人は期待通りに動かないということも知ること。

あなたと同じように自分の人生があると気づいていくことです。

 

だから僕は、その方に

「まずは、この二人の関係から始めませんか?」とお話をしました。

もちろん、あなたの期待通りに、裏切らない人になる関係ではなくて。

 

僕があなたを信じる関係です。

 

信じてくれる誰かが一人いるだけでも、

世界に一人だけでも、

その人の事を思うと心強いものですから。

・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・カウンセリングルームこころ音 カウンセラー
元引きこもりのカウンセラー。現在は講師として、毎週(土)講義を行う。
都内のクリニックでカウンセリングも行っている。