フォーカシングは、自分の心に寄り添うことです。
僕たちは、普段あまり自分の心の声に敏感ではありません。
お仕事なんかをしていると、
自分の気持よりも、仕事を優先しなければいけない時もありますから、
どうしても「我慢」という選択肢を取らなければいけない時があります。
ちょっとの我慢であれば問題ないのですが、
それが増えてくると、心にその我慢がたまってしまって、
お腹が痛くなってきたり、胸が苦しくなってきたり、
気付かないうちに涙が出てきたりと、
身体症状として現れたり、
なんとなく、胸が苦しい。
お腹がキリキリするという、
なんとなくの感覚としてあらわれてくることがあります。
フォーカシングでは、そんな何となくの感覚とコミュニケーションをとっていくことで、
自分のその我慢した心の声を聴いたり、感じたりする取り組みを通して、
悩みの解消を目指していきます。
では、実際に僕がカウンセリングでした時のことを、
ちょっとだけお話をしたいと思います。
※フォーカシングの技法とゲシュタルト療法の技法などが混じっています。
胸が苦しいAさんのお話。
Aさんは、自分のことを好きなれずに悩んでいました。
自分の気持ちがよくわからなくなるほど、当時は混乱してて、
大切な人から振られてしまったこともあり、
心理状態としてあまり良い状態ではありませんでした。
別れた原因を自分に求め、自分を責めて、
でも会いたい気持ちや、好きな気持ちは止められず、
その人のことを考えるだけで胸に痛みを感じる。
そんな状態でしたので、少しずつお話を聞きつつお気持ちの整理をしてきました。
少し気持が落ち着いてきたときに、その胸にある何となくの感覚に寄り添ってもらいました。
僕「少し苦しいかもしれませんが、その胸の感覚をゆっくりと感じてください。」
CL「はい。」
僕「ゆっくりと時間をかけて大丈夫です。苦しさは増すもしれませんが、傍にいますから大丈夫です。」
CL「はい…。なんだかこう…、胸に何か突き刺さる感じがします。」
僕「何か突き刺さる感じがするんですね。それを感じてください。」
CL「はい…。なんだか痛いです。」
僕「痛いですよね…。」
僕「それをじっと感じていると、何か気持がにじんでくるかもしれません。どんな気持ちがにじんできますか?」
CL「なんだか悲しくて、寂しい感じがします…。」
僕「その悲しくて、寂しい感じを十分に感じてください。」
(CLさんは、涙を流し始める。)
僕「その悲しみや寂しさを言葉にしてください。」
CL「なんで私のもとを去っていったの?」
「ずっと一緒にいるって言ったのに!」
「なんで、あんなひどいことを言ったの!」
「なんで…。」
「本当は、もっとずっと一緒に居たかった…。」
「愛してほしかった…。」
(さらに、涙を流し始める。)
僕「そうですね。一緒に居たかったし、愛してほしかったですね。」
「大切に大切にされたかったですね。」
CL「はい…。」
僕「その流れる涙を感じてください…。」
「その頬に伝う涙に口があったらなんて言うと思いますか?」
CL「一緒にいるよ。私はそばにいるよ。ってそういってくれている気がする。」
僕「一緒にいる。私はそばにいるって、そういっている気がするんですね。」
「その言葉を十分に受け取って下さい。」
「私はそばにいる…。その言葉を…。」
するとその方はさらに大粒の涙を流し始め、
胸に当てたその手をぎゅっと握り、
しばらく声にならない声を上げて、
一人静かに泣いていました。
僕はそれをずっと見つめながら、
「大変でしたね。」と心で思いながら、
その姿を見守っていました。
一通り泣き止んだ後、
「胸の痛みは今どのように感じますか?」
と聞いてみると、
「なんだか痛みはなくなって、温かい感じがします。」
とその方は答えてくれました。
悲しみの底には、温かさが隠れている。
どんなに悲しくっても、苦しくっても、
その奥には大切な大切な気持ちが隠れています。
誰かが離れていっても、
一人だと思っていても、
僕たちの心は、自分と一緒にいてくれます。
片時も離れず、離れたと思っていたとしても、
ずっと傍にいてくれます。
必要なことは、それに気づくだけです。
そのずっと一緒にいる「私」の声を聞くだけです。
でも、僕たちはその声の聞き方がわかりません。
それもそのはずです。
誰も教えてくれないのですから。
しかし、自分の心に寄り添うことや、
その声を聴こうとすること。
受け取ろうとすることは、人生においてとても大切です。
それは、自分と向き合うことであり、
自分を生きることだからです。
そこでこのお教室では、セルフケアとして「甘口フォーカシング講座」を行っております。
セルフケアを身につけたい方に向けた、体験方の講座です。
講師はこの記事を書いている僕ではなく、女性の土矢が行いますので女性ならではの優しさにも触れられる講座ですから、是非お越しくださいね。
甘口なフォーカシングは、次回4月21日(土)よりスタートです。詳しくはこちら!